“普通” が過ぎて行く。
苺美が消えてから数週間…まだ苺美の声は雨哥を求める。離れない最後の声。
「雨哥」と時より雨哥の名前を呼ぶ。
苺美の声。記憶の中だけの声?
魂が残って呼んでる?雨哥の罪悪感の声?
どれでも良い。呼ばれる事に変わりはないから、理由はどれでも。

「知ってる人間の時」
「自分が消した時」
「何度も声が…」
「いつまでか分からない」
タキにも幾つか教えてもらった。
タキも雨哥のようなケースは初めてだから、答えは分からない。
でも、タキも同じだったと教えてもらった。
『タキさんもそうだったんだ…。何度も何度も呼ばれたんだ…。タキさんも誰かを…。いつか話してくれるって言ってたな』
「今度…この先のアンタを見て私の事、話す。今はまだ無理だ」
タキに言われた。
この先の雨哥の行動で、タキの対応も変わる。認めてくれるかな?
最悪は自分もこのサイズに…。
ならないようにすれば良いんだ。
それで丸く収まった。
あの日…。
長かったあの夜…。
苺美の最期夜(さいしゅうや)…。