「この上で洗い流して。そのまま下に水は捨てて良いから」
タキは網目の細かい笊(ざる)を渡し、水の出ているホースを渡した。
洗い流している場所の足の下は、鉄の網床になっていて、その下は地下へと空洞になっているようだ。
「この下って…下水とかですか?」と聞いてしまっていた。
聞いて良いラインがどこまでなのか分からない。気になったから素直に聞いてしまった。
「その下は…まぁ下水みたいなもんかな?そう思ってれば良いよ。そのまま下に流す、捨てる。地下で流されて処理される仕組みになってる。だから特に異臭とかも立たないし…。他に気になってる事は?」
タキは答えてくれた。
何をどう聞こう…。分からない事だらけで聞きたい事さえ困乱(こんらん)する。
でも、浮かんだ事から聞いた。

「たまに来るワゴン車…男の人…運んでる荷物って…」
この問いで今までのピースが…バラバラのピースが合わさり1つになる。
形になった。分かった。合った。
全てパチっと合わさる。
キレイに1つの “画” の完成。
合っていた。
タキが教えてくれた。
作業をしながら、進めながら淡々と教えてくれた。