「この子とは長かったのか?」
タキの声で出会った時の事が思い出された。
転校して来た日。

「この子の事、好きだった時もあったんだ」
タキの言葉で胸が苦しくなる。
否定はしない。けど認めたくもない。
どう片付けたらこの胸の感情は収まる、治るの? “治” なんて許されないけど…。
「好きでいたかっただけです」と答えた。
いられなかった。だからコレなった。
「どうしても許せない、譲れなかったんだろ。そこまでの何かだったんだろう」
少ししか話していないのに、タキはその少しで分かってくれているのだ。
きっとタキにも何かあると思った。
けれど聞かない。“いつか” でいいんだ…。

どうしても…どうしても駄目だった。
嫌だった。それだけは絶対…。
琉羽だけは私だけなの。
ビーズも洋服もメイクも真似された。
時に苺美の方が褒められたりもした。
でもそれは目を瞑った。いつか現れる大切な人だけは真似させないって強く、そこだけは止めてって言えるように、他は許した。
そして琉羽と出逢った。