大嫌いなコイツ。やっと消えてくれた。
ううん。消えてくれただけじゃない。
この手で最後まで消す事が出来るなんて。
それに対しては “ありがとう”。
変な音。
でも、いつもいつも聞かせてくれたバカな声よりもこっちの音の方が好き。
いい音じゃん。

アンタのおかげだよ。
最後の最後まで最悪で大嫌いで不味くて、手もいろいろ汚してくれたけど、最後の最後に最高な思い出を残してくれて最悪な奴。
本当にアンタは何だったの?
何の為にいたの?本当に最低…。
大っ嫌い。ダイッキライナマイミ…。
目からは今までの分の涙が溢れた。落ちた。
どうして…どうして…。
泣くなんて…。泣く必要なんて…。
どうしてこんな気持ちにさせるの?
もう…何も意味ないじゃん。
本当にバカな子。ずっとずっとさ…。
大好きでいさせてくれなかった。
大嫌いな子。
苺美…。
苺美…。
苺美…。
忘れないよ…。
大好きで、世界一大嫌いな苺美の全てを忘れないから…。
ごめんね苺美。
バイバイ苺美。

雨哥の涙が苺美の体に落ち、赤がジワッと広がった。
雨哥と苺美が重なり混ざる。
最後に重なる。
透明が赤になる。
最後は苺美の色になる涙が止まらない…。
こんなにコイツの為に泣くなんて。

少しでも、私を持って行って良いよ…。
最後だから透明の私をあげる…。
もう何も欲しがらないで。
私の透明をあげるから。
苺美の為の透明。
苺美の色にして良いよ…。
…ごめんね…。
苺美の味が口に戻った気がした。
少しだけ甘く感じた。
どうして…苺美…本当…大嫌い!