気付くと雨哥は苺美の赤が増えて行く容器の中の赤を見ていた。
溜まって行く赤…。
笑える。笑っている。
「…で…この子の味…どうだった?」とタキは容器の赤を同じように見る。
その赤を2人で見る。
「最後の最後まで…大っ嫌い!」
今までより大きめの声にタキが雨哥を見る。
犬も吠えた。
雨哥は笑っていた。
その目から沢山の大粒の透明が落ちる。
涙は出る…どうして?
本当はどう思っているのか…思いたいのか…
どっちなのか、もう雨哥には分からない。
苺美…アンタは本当に…何だったの?
どうしたかったの?どうしてくれるの…。
何でこんな…。もう何も分からない…。
もう苺美はいない。
コレはもう苺美ではない。苺美…こんな…。
そう思う事で…吐かずにいられるのだろうか…好きだと思えば…味は変わるの?
“大嫌い” そう思っても少しだけ気分が悪くなるだけで、吐くまでは至らない。
そこまでの苺美。もういい。
「子の子の味…不味かった…」
最後の答え。カンタンな答え。
それで良い。だって、そうだから。
「大嫌い」
最終…。
この子は…大嫌い。ごめんね。やっぱ無理…
お前は…不味いよ。