「早く」とタキに腕を引かれ、雨哥の体がやっと反応した。
「しっかりして」
タキが持って来たであろう、黒いシートのような布のような初めて見る素材の物で苺美の体がキレイに荷物のように収められた。
すごく慣れた手付きで包まれた。

「タキさん、どうして?何…してるんですか?どうするんですか?」
声が震える。こんなに出ないものなのか…。
タキの手際の良さに雨哥は声を小さく聞く。
なんで?何してるの?どうするの?
何かある。ずっとどこかで気にしていた何か。引っ掛かっていた考えが浮かぶ。
「知りたいんでしょ?とにかく来て。来てから説明する。早く。この子の荷物全部持ってついて来て」
タキに言われ、苺美の鞄と着ていたジャケットを抱え、タキの後を追う。
ただ1つ残されているモノに気付かないまま。
階段を下り、雨哥の部屋とは対角にある【101号室】のタキの部屋に入る。
まさか、入れる日が来るなんて…。
こんな時にこんな事をして入れる部屋?