自分の両手が震える。その手がドロッと赤く汚れている。ナニコレ?
目の前には、鋏を胸に飾り赤く灯る苺美の姿がある。綺麗にさえ映る。デモ、ナンデ?

赤く灯る苺美の目はもう何も追わない。
光っているのは涙で、もう雨哥を見ようともしない。追わない。
「苺…美」呼ぶ。
「苺美」返事はない。
何も返って来ない。
「苺美」
いつもなら直ぐに目が合うのに、見てくれない。その目は少しも動かない。
自分から映りに行く。
目には自分の姿があるのに、見てくれない。
合ってる感じがしない。
苺美の最後の声…「う…た…」。
苺美の最後に言った、呼んだのは雨哥の名前だった。
その声が何度も何度も雨哥を呼ぶ。
何度も何度も。「雨哥」と…。
「やめて!呼ばないで!消えてよ!」
その叫びを最後に全てが消えた。