【近く来たよ。今、見えてる】と雨哥が苺美の姿を捉える。
琉羽の手の平で、雨哥からの文字が光る。
【分かった。大丈夫?一緒に話そうか?心配】と琉羽は返す。
【大丈夫。それに、琉羽の前で本当の事を言うと思えない。きっと都合良く言うと思う。何かあったらすぐ家出るから。待ってて。ありがとう】
そのメッセージに【待ってる】と返し、琉羽は今回のルート最後の行動へと体の方向を移す。
近くを走るタクシーを何とか捕まえ、「とりあえず出して下さい」と走り出してもらった。
琉羽がするべく動きはこれで完了となる。
「うまく行くだろうか。失敗で終わったとしても、どうか無事で過ぎてくれ」
そんな気持ちで、次は雨哥に託す。
「頑張れ雨哥。待ってるからな」とタクシーに揺られ、乱れていた息を整える。
緊張していたのだとこの時、気付いた。
琉羽の緊張がそのまま雨哥に渡される。