ーーーーーキーンコーンカーンコーンーーーーー

午前の授業の終了のチャイムが鳴る

11月25日

肌寒いこの時期でも

クラスの女の子達は昼休みだとキャピキャピはしゃいでいる。


そんな中、私はケータイを片手に一人で黙々とお弁当を食べる。



仲間はずれにされている訳じゃないけれど

特に仲の良い人がいるわけでもなく

もう11月というこの中途半端な時期になってしまったら

わざわざ自分から声をかけてまで変な空気にさせてしまうくらいなら

一緒にご飯を食べなくていいやと思ってる。




ええ。もちろん寂しい。

楽しそうに話している皆を見ていいなと思う。

私だって青春らしいことしたい。



だけど特に面白い話をできる訳でも

皆から憧れられる魅力を持っている訳でもない私は

一人がお似合いなんです。





深い自己嫌悪タイムに入る前に

厳しい現実から逃げるため

今日も小説アプリを開く。





自分の書いた小説の文字数を見て、

結構書き進められたなあ~と我ながら感心する。




ここまで書けたならもう公開してみる?

いやいや、こんな私のただの妄想公開したって恥だ。自分の中に留めておこう。

いや、でも私が書いたって誰にもばれないわけだしちょっとだけ公開してみる?



なんて自分の中で葛藤を繰り返しながら、ずっと公開ボタンを押せずにいた。








そんな時、クラスの女の子の大きな驚きの声が聞こえてきた。



「ええ~!?えりちゃん雑誌の読者モデルに選ばれたの!?」


その声が聞こえると

えりちゃんを取り囲む女の子だけでなく

廊下にいた女の子も

馬鹿騒ぎしていた男の子達も

皆えりちゃんに視線を向けた。



「そうなの」

ともじもじしながら恥ずかしそうにえりちゃんが答えると

クラスの中心は一気にえりちゃんとなり、

すごいすごいと皆はもてはやした。

男子たちも急にツーショットやサインを求めだし

もう既に大スターのような扱いになっていた。






確かにえりちゃんは可愛い。

同じ場所にいるはずなのに住んでる世界が違うなと思う。

だからあんな風に私がなれるなんて思わない。

だけど、あの盛り上がりにすら入れない私の

彼女達との魅力の大きな差を目の当たりにし

一気に自分が惨めに見えた。









もう私はこの世界で

好きものだけ見て生きるからいいんだと

半ばヤケになって

小説の公開ボタンを押した。