ざわざわと音をたて、みんなが席に着く。

「お、悠おはよーん」

西村が教室のドアのほうへ目線を向け、声をあげている。


「おう」

「おうってなんだ、おうって」

その彼の声に、わたしの心臓はさっきまでとは違う音をたてる。



「悠!!おはよーまたギリギリぃ」

桜がニンマリ嬉しそうな顔をしながら彼に飛びつく。

目で追ってしまっていたわたしは勢いよく目線を背けた。


1ヵ月前まではあの2人の空間にわたしはいた。

……いたのに。






「席につけー」

先生の声に、しぶしぶ桜も席に着いた。