「なにその顔。なにか言いたいことでもあるわけ?」

桜がわたしに鋭い目線を向ける。


言いたいことしかない。

でも言ったところで何も変わらない、変わらなかった。



「あれ(ゆき)ちゃんいたんだ。相変わらず影薄いな」

「それはわらう」

わざとらしい表情を浮かべる西村、それを笑う紗枝と桜。

もうこんな茶番も慣れきったこと。

そうは思うものの感情が無になるわけでもない。


毎日毎日、


毎日、


「黙ってないで何か喋れよ」

毎日、


何が起こるか、怯えながら過ごす毎日。




キーンコーンカーンコーン



チャイムの音。

いつもこの音に助けられている。