*
中学3年生のころ。
放課後、3人しかいない教室で、
「香山高校の制服がやっぱ一番かわいくない?」
「ほんとめっちゃかわいいじゃん」
机に高校のパンフレットを広げて真剣に見るわたしと桜。
「香山って偏差値高いけど?」
参考書を広げて勉強をしている悠が口をはさむ。
「制服じゃなくてもっとあるだろ」
「いやここがいいここにしよ!」
呆れた様子で説得する悠に、桜が噛み付く。
「男は学ランばっかだもんねうらやましいか」
「いや、どうでもいいから」
「もう!そんなこといわずに!見てよ!かわいいでしょ」
そういいながら桜がパンフレットを悠の参考書の上に置く。
小さくため息をつきながら、しぶしぶパンフレットを手にする悠。