開口一番に謝られてしまえば、それ以上責めることは出来ない。

なんとか笑顔で首を振ったけど、怜士から差し出されたものを見て固まってしまった。

「これ。お詫びというか、お土産」

彼が手にしていたのは、今女性に大人気のパティスリー『bonappetit(ボナペティ)』のショコラ。

高級ではあるが別格に美味しいと数年前に日本初出店して以来じわじわと人気に火が付き、今年SNSで“映えるショコラ”とインフルエンサーが紹介してからは、若い層にも爆発的に流行っている。

普段だったら最高なチョイスのお土産にご機嫌になっていたかもしれない。

だけど、今の私は素直に喜ぶことが出来なかった。

「……これ、池田さんと選んだの?」
「え?」

差し出した紙袋を受け取らない私を見て怪訝に思ったのか、怜士が顔を覗き込んでくる。

情けない顔を見られたくなくて、私は一歩身体を引いた。

「陽菜?」

人気パティスリーのスイーツを、怜士が知っていたっておかしくなはい。

もしかしたら私のために調べてくれたのかもしれない。