『大丈夫。昨日も言ったけど、妊娠初期ってホルモンバランスの関係で情緒不安定になりやすいんだって。陽菜は今、ちょっとナーバスになってるだけだよ』
「そう、かな?」
『心配になる陽菜の気持ちもわかるよ。何度も電話を掛けてくる女性とふたりでいるのを見たら、私だってきっともやもやしちゃうと思う』
「うん」
『だけど麻生くんが仕事って言ってたのなら、信じてあげてもいいと思う。結婚式で久しぶりに会った麻生くん、陽菜にべた惚れって感じだったし』

励ましてくれる千花にお礼を伝えると、『これでママ友になれるね』と笑ってくれた。

努めて明るくしてくれようとする親友の心遣いがとてもありがたい。

電話を終え、家にあったもので簡単に夕食を済ませてからゆっくりとお風呂に浸かった。

それでも、まだ私の心は晴れないまま。

普段ならこんな風にうじうじと考えたりしないのに。

これは千花が言っていた通り、ホルモンバランスの関係でナーバスになっている証拠なのかな。

髪を乾かし歯磨きをしたりと寝支度を終えたところに、怜士が帰ってきた。

「おかえりなさい」
「陽菜、今日は本当にごめん」