なんとか彼の誘いを躱して眠った翌日。

私は白黒のエコー写真を握りしめ、ニヤける頬を抑えきれないでいた。

「おめでとうございます。妊娠七週目ですね」

母と同い年くらいの先生が、穏やかな声音で説明してくれた。

「この小さく点滅しているのが心臓です。うん、元気ですね」

画面に映されたのは細長い黒い丸に入った小さな白い丸で、どこが赤ちゃんなのか見ただけではまったくわからない。

それなのに、ぴこぴこと白く点滅しているのが赤ちゃんの心臓だと聞けば、なんだか可愛く思えるのだから、親バカにしても早すぎると自分でも笑えてくる。

このくすぐったくて幸せな感情を、早く怜士と分かち合いたい。

赤ちゃんができたと打ち明けたら、一体彼はどんな反応をするだろう。

きっと驚くよね。喜んでくれるかな。

待ち合わせの時刻までまだ余裕があるけれど、待ちきれずに麻生の本社へとやってきた。

どこかカフェに入って時間を潰していようと考え、ふと思い至る。

これからしばらくはコーヒーも飲めないんだ。他に妊婦さんが口にしてはいけない食べ物って何があるんだろう。

調べてみようとスマホを取り出すと、怜士からメッセージがきていた。

すぐにアイコンをタップして受信した文面を読むと、私の足取りはピタリと止まる。