「……そういえばはなの、勉強進んでる?」


先に一段落つけた萌ちゃんが思い出したように首を傾げて聞いてきた。
まだ口の中に残っているひんやりとした冷気と共に一度唾を飲み込む。


「うん!! 模試の点数も順調に右肩上がり!!」

「カノちゃんすごい、頑張ってるもんね」

「目標が決まれば頑張れるタイプだ?」

「えへへ、そうだったみたいですふへへ」


行きたい大学も決まった。
お父さんとお母さんに進路について相談したら、ちゃんと分かってくれたし頑張れって応援もしてくれた。

それに、雪杜くんと一緒に過ごす時間も増えた。

……と言っても、お互い勉強して、休憩の時間に少し話して、また勉強して。

そのくりかえし。


少し前の私だったら、もっとくっつきたいとかイチャイチャしたいとか考えてモヤモヤしていたんだろうけど。

今は、自分のやりたいこと、雪杜くんのやりたいことを尊重する余裕があって。
その時間を共有できていることに私はとっても満たされてる。


今はただ、一緒にいられるだけで幸せなのだ。


「奏雨とも和解できたみたいでよかったじゃん」

「うん、奏雨ちゃんも私の勉強に協力してくれてて、助かってるよ~」


1年生に勉強を教えてもらうのはちょっと情けない気もするけど、教えてくれる時の奏雨ちゃんの様子は満更でもなさそうなので、ついつい甘えちゃってる。

それに、たまに小さい頃の雪杜くんの話をしてくれるので毎回楽しみにしちゃうんだよね。