「さ、ここを曲がればすぐですよ」

「!!」


角を曲がってすぐ。

入口がカラフルなアレンジメントで飾られた小さなお花屋さんに着いた。
よく考えたらお花屋さんに来ることなんて初めてで、すごくドキドキする。


「わあ、きれい……!」

「少し小さいけれど切花の取り扱い数は多いですし、店員さんも親切で花に詳しいので、相談に乗ってくれますよ」


ここまでかなり入り組んだ道だったけれど、これは確かに地図アプリでたどり着くには難しかったかもしれない。


「本当にありがとうございます。今日サプライズで渡しに行こうと思ってたので、お店が見つかってほっとしました」


私の言葉を聞いて安心したように笑ってくれた。
先ほど一瞬だけ感じた陰りはもう微塵も感じない笑顔。
私の気にしすぎだったんだろうな。


「こちらこそ。素敵なプレゼントが見つかるといいですね」

「きっと見つかります、こんなに素敵なお花が沢山あって迷っちゃうかもしれないけど……えへへ」

「それじゃあ私はこの辺で失礼します。帰り、気をつけてくださいね」

「はい、ご親切にありがとうございました」


お互いぺこりと頭を下げ、その人は来た道を戻って行った。

私もなにかお礼を…とも思ったけれどさすがにそれじゃあキリがなくなってしまうから。
よしと気合を入れて店内へ足を進める。