雪杜くん、今何してるかなあ。

想いを馳せていると、隣から「あ」と何かを思い出したような声が聞こえて振り返る。


「俺、今日特別な予定があるから、お前のこと送って行けないわ……って、そんなふくれっつらするなよ、仕方ないだろ」


だからそんなに子供じゃないから!!
別に送ってもらわなくたって1人で帰られるし、逆に今日は1人のほうが好都合なのだ!!

頬に溜めていた空気が抜けて、にんまりと口角を上げた。


「私にだって、用事があるんですーだ!!」


ふふん。雪杜くんがいないからって何もすることがないと思われたら大間違いなんだから。
思った通り環くんは驚いて目を見開いていた。


「へえ、それはどういったご用事で?」

「それはね~……っじゃない、違う、内緒!!」

「お、カノにしてはよくとどまったじゃん。で、何するの?」

「うん、雪杜くんのためにね……だああ!!」


隙あらば内容を聞いてくる環くんに見事に翻弄される。
でも、これだけは言うわけにいかないのだ。

私は今日、雪杜くんにサプライズをしに行くのだから!!
……うーん、サプライズの用意、と言った方が正しいのかな?

雪杜くん、まだ家に来て欲しくなさそうだったし……。


その後も環くんの猛攻は続いたけれど、なんとか秘密は死守することができた。

午前の授業を終え、図書室に向かうみんなにバイバイをして、私は1人学校を後にする。

予定通りにきたバスに乗り、とある場所へ向かった。