私の知らないところで仲良くなっちゃってたし、私の知らないところで色々話が進んじゃってたし。
去年は仕方ないとしても、今は私が彼女なんですけど!!
雪杜くんだって、私に1番に話すって言ってくれてたじゃない。

むうっと口をとがらせるだけじゃ足りなくて、さらには頬に空気を溜めて精一杯環くんをにらみつけた。

環くんは小さく息を吐いて困ったように笑う。


「俺も聞こうと思ったけど、『まずは花暖先輩に』の一点張りだったよ」

「……本当?」

「ほーんと」


……嘘をついている様子はなさそうだ。
環くんにも話していないのなら、他に雪杜くんの事情を知っているのは奏雨ちゃんくらい……だよね。

そこまで思って、昨日のことを思い出して環くんへ視線を戻す。


「環くん、奏雨ちゃんと仲良くなれた?」

「んー、ぼちぼち?」


真顔でピースを向けてくるから、順調に仲良くなれているようだ。
いいなあ、私も早く奏雨ちゃんと仲良くなりたい。


「小池氏も奏雨と打ち解けてた。昨日は平和だった……」

「なんか環くんって、いつも私が仲良くなりたい人と私より先に仲良くなるよね。嫌がらせなのかなあ?」

「これが腐れ縁というやつよ」


嬉しいような皮肉なような笑顔を浮かべて、反対の手でもピースをしてみせてくる。
腐ってはいないだろうけど、過保護というか、お父さんというか。


「ふあ……」

「すんなあくび!!」


環くんは放っておいて、私は反対側の窓へと視線を移した。