*花暖side*

「ふあ~あ……」

「なんだ寝不足か?」


大きなあくびを見られただけでも恥ずかしいのに、わざとらしい笑みにムッとして口をとがらせながら隣を見る。


「環くんが朝早すぎるんだよ」

「奈冷に会えないからって、八つ当たりするんじゃありません」

「うう~……」

「唸るなよ」


昨日、雪杜くんからメッセージが来た。

『急用ができたから、明日は学校休む。朝はタマキと一緒に学校行って。俺から頼んでおいたから』

あの雪杜くんが学校を休むほどの用事とはいったいなんだろう。
やっぱり奏雨ちゃん関係のことなのだろうかと思って、1年生の教室をちらっと覗いてきた。
まだ学校にきていなかったようで、確認することはできなかった。

……まあ、雪杜くんのことなので何も心配することはないのだけど。

それにしても、雪杜くんは私が一人で学校に行けない人間だと思っているのだろうか。
あらかじめ環くんに頼んでおくとか……私そこまで子供じゃないんですけど……!!?


「カノ、そんなに怒るなって。奈冷にも色々事情があるんだろうからよ」

「…………」


浮かび上がる疑念。
去年のことがあるので、ますます怪しさが増す。


「環くん、もしかして雪杜くんから何か聞いてる?」


去年もそうだったもの。