「……全部、皐月が」

「だからおっそいんだって気付くの」

「…………」


頭痛がする。
いや、つかまれている髪が悲鳴を上げているのか。

ああもうどっちでもいい。

皐月が俺に対してこうまでする理由がわからないから、対処のしようがない。
やめろと言われて大人しくやめる奴でもない。

執着が過ぎるせいで、一周回って好意を寄せられているんじゃないかととんでもない思考に至って目を閉じる。


……目が回る。


じわりじわりと滲む皐月の毒が、今更になって効いてきた。


「何で、こんなこと」


白に近い銀髪が揺れて、透き通るような淡い水色の瞳が俺を睨む。
整った表情の無駄遣いをするようににたりと笑う。
牙のように大きい八重歯がいやに目立つ。


「3つだ」


皐月が俺の髪をぐしゃりとつかんでいるおかげで、視界がぐるぐると回っていても立っていられる。
皮肉なことだ、本当に。


「1つ、お前が嫌いだから」


それでも、急にガクンと力が落ちた俺の身体は支えられるものではなかったらしく、床に膝をつく。
たまった疲労がここへ来て波のように押し寄せてくる。