チュンチュン・・・・・・
朝の光が眩しすぎて俺はだるそうに起きる。
『あーあーだりぃ』
携帯の時計は6時15分を迎えていた。まだ起きるには早すぎる。
『もう1回寝るか』

すると、階段を勢いよく駆け上がってくる足音が耳障りだった。

『こらー!!!龍斗はよ起きんか!!!』

隣の家まで響くんじゃないかってくらいの声が俺の耳の奥まで届いた。その声の主は俺の母親だ。まあやかましい親そして俺はこの声が嫌いだ。

『うるさいな。まだ早いだろ! それに近所迷惑や!』

『あんたがはよ起きんけや、今日は始業式やろ。準備しなや!』

そのことをすっかり忘れてたわ。まあ嘘だけど。

俺は冠城龍斗《かぶらぎたつと》
青波高校の1年生。つまり新入生。

『あー2度寝しようと思ったのに、朝から憂鬱や。』
そんなことブツブツ言いながら下に降りる。てか、どんだけ早起きやねん。俺は登校ギリギリに行く予定だったのに。

『そう思って早く起こしたんや。あと新入生は7時半集合らしいよ。』
とクソ親が言ってた。

『え、まじか。』
それは聞いてない。これは本当に。

朝ごはん食べて制服に着替えて家を出る。

青波高校までは電車を乗り継いで30分くらいにある県内でも指折りできるくらいの進学校だ。

『あーなんであの高校受けたんだろ。』
理由はない。ただ家から1番近いからだ。それでも遠いと感じるのはなぜだ。
それにしても世の中ってめっちゃ生きづらいよな。なんだって、これからの学校生活なんて期待の『き』の文字もないのだから。
単刀直入に生きる希望がない。このまま死んでも誰も悲しむ人が居ないと思うくらい人生に未練がないのだ。

『ほんとに、新入生集まってる。』
俺が1番最後の方だった。あと数分で遅刻だったみたい。
初日から遅刻なんてある意味目立つから焦った。

『なんでこんなに早いんだ?』って心の中で問いかけた。


周りの生徒の見てみるとくそ真面目そうな男や女が沢山おるわ。俺完全に場違いな気がする。


俺の両隣は男と女がいて、緊張の面持ちで待っていた。そんな時、
『新入生の皆さん、朝早く御足労ありがとうございます。これから新しいクラスを伝えるために早く来てもらいました。』
校長みたいな先生が前に立って話し始めた。てか、そんなの朝早く言うことかって面倒な感じで聞いていた。

『これから始まる高校生活は青春と勉強と人生のために色んな経験を積み重ねていって欲しいです。私はそのためにならどんな協力も惜しみません。皆さんのこれからの人生に期待しています。』

期待、、、ね、、、
そんなに軽く言っちゃって、どうせ協力って言っても蔑ろにして見捨てるのがオチやね。


クラス発表は前にあるボードに貼ってあった。
『俺は、、3組か。知り合いはいない、、ね。』
それもそうか。俺の知り合いなんて誰もいないや。中学の同級生は超進学校に行ったんだもんな。


すると
『君も3組!?』って頭がかち割るくらいの高い声が後ろからやってきた。

『うるさいな。そうだけど。』

『やった! 同じだ!』

『てか、あんた誰?』

『あ、私は如月姫華《きさらぎひめか》君は?』

『お、俺は冠城龍斗』

『よろしくね!』『よろしく。』


これが姫華との初めての出会いだ。俺の人生を明るくしてくれた。多分姫華に会えたことが神様が与えてくれたご褒美であろう。でもその時の俺たちにはそんなことを思うことはなかった。