春原蛍さま


 お元気ですか?

 あらたまって書くのは初めてだから、少し照れくさいです。
 何を書いたらいいのか悩むなー。
 とりあえず、涙ふいて。
 これを読んでるってことは、俺はもういないんだな。

 あれ、泣いてねえって?
 少しは寂しがってくれてると、嬉しいんだけど。

 蛍といた時間は、生きてきた中でほんのわずかな時間だったけど、俺にとっては全てだった。
 蛍の顔を思い出しながら書いている今も、会いたくてしょうがない。

 ナイトアクア、高校、それから蛍の約束も叶えられなくてごめん。嘘ばっかで、ごめん。

 蛍の笑顔が好きだから、楽しい思い出のままにしたかった。
 俺にとって蛍は、立派な友達であり、初恋の子でもあるんだ。

 こんな奴と一緒にいてくれて、ありがとう。

 最後に、もうひとつ俺のわがままを聞いて。
 好きな人が出来て、結婚して、楽しいこといっぱいの未来の片隅で、たまには俺のことも思い出してほしい。
 あー、あんなヤツいたなってくらいでいいからさ。
 泣きたくなったら上をみて。
 いつも空のどっかから、応援してる。


 なーんて、いっぱい書いてきたけど、
 俺の希望としては、この手紙を大人になった蛍のとなりで一緒に読む。で、笑い話にする。

 奇跡って、ほんとにあるんだなーって!
 じゃ、またな。

                宮凪海