目の前のきょとんとした瞳で、ハッとする。
 私ったら、なんてことを口走ったの!

「あ、ごめ……! 不思議で、つい」

 ── あんま知られたくねぇんだよな、これ。特殊だから、みんな興味本位でじろじろ見るんだ。

 宮凪くんが気にしていることを、無神経に。

「体の中へ入る分には、反応ないんだ。光るのは、こうやって、皮膚に当たった部分だけ」

 言いながら、水を垂らした宮凪くんの手首が、キラキラと輝き出す。月灯に照らされて、とてもキレイ。

「おもしれぇだろ。俺の特殊能力だからさ。蛍だけ、特別な」

 不安を吹き飛ばす笑顔がまぶしくて、私は小さく笑い返した。
 どうして、宮凪くんが嫌がると決めつけたのだろう。触れてほしくないだろうと、思い込んだのだろう。

 たくさん一緒にいたのに、知らなかった。わかった気になっていた。病気のことも、宮凪くんのことも。

 もっと、知りたい。もっと、近づきたい。

 こんな気持ちになったのは、生まれて初めて──。