翌日の朝は、晴れ空からぽつぽつと雨粒が落ちていた。公園へ着く頃には、通り雨は過ぎ去って、折り畳み傘を閉じる。

 人影のない海賊船の中。ひっそりと身を潜めると、新しい文字が目に入った。


《今度、ホタルに話さなきゃいけないことがある》


 その場でうずくまりながら、ギュッと膝を抱き締める。

 今までなら、期待とときめきでしかなかった緊張の音。でも今日の心臓は、不穏な音を鳴らしている。
 不安と絶望しか聞こえないのは、宮凪くんを信じられなくなっているから?

 すぐにでも会いたいのに、真実を知るのが怖くて、私はペンを走らせた。


《6月27日でもいいかな》

 今週の修学旅行が終わってから聞こう。それまでに、何を言われても受け入れられる準備をしておかないと。

 少し湿った地面へ降りて、空を見上げる。澄んだ青色とは裏腹に、じとっとした空気が体にまとわりついていた。