待ち合わせている駅中のワッフル店の前には、すでに宮凪くんの姿があった。薄手のパーカーにラフな格好で、よく似合っている。

 おはようと挨拶を交わしてから、目的地へ向かう最中、じっと見られている気がして落ち着かない。

「な、なにか……変かな?」

 宮凪くん越しに、ショーウィンドウにチラリと映る自分の姿。コーディネートがおかしいのか、それとも巻いた髪を結んだのが子供過ぎたか。
 マイナス思考ばかりが連なって、足が重くなる。

「蛍って、そうゆう服着るんだと思って。この髪の毛自分でやったの?」

 くるんと跳ねた毛先がつままれて、指先からするりと落ちた。

「えっ……うん。慣れてないから、上手くできてないけど」
「へぇ、可愛い。似合ってる」
「……あ、りがとう」

 意識しないようにと思っても、だめ。恥ずかしさ以上に、顔のにやけが込み上げて来て、そっと下を向いた。

 褒められ慣れてないから、反応に困る。素直に喜んでいいものか、サラッと流した方が正解なのか。

 今まで気にしたことがなかったけど、宮凪くんって女の子の扱いに慣れている。やっぱり、学校でもモテるんだろうな。

 すれ違う女の子が振り向いて、こそこそ話している。「かっこいいね」と聞こえて、私はさらに顔を伏せた。

 ショーウィンドウに映る私たちは、見た目からして正反対で、肩を並べていることが不思議になる。他の人にも、思われて当然だ。