《ホタルと言います。よかったら、友達になりましょう》

《返事ありがとう。ウミって呼んでね。ホタルは、この公園よく来るの?》

《学校行く前に、毎日寄り道してます。海賊船は、私の秘密基地なの。ウミちゃんは?》

《この前、初めて来たよ。ここ、いいね。全ての音を消し去れる》

《そうなの。1人になりたい時に、とってもいい場所です》

《わかる。たまにあるよね。全部リセットしたくなる瞬間。テストで赤点取った時とか、笑》

《ウミちゃん、もしかして中学生ですか? 私は、15才の中学3年生です》


 海賊船の遊具に潜り込んだら、慣れた手つきで、天井に貼り付けられた封筒へ手紙を入れる。

 登校前に公園で寄り道をするのが日課の私は、数日前にメッセージを見つけた。

 友達になりませんかという文字に惹きつけられ、返事を書いた。

 気まぐれと言ったら、そうなのかもしれない。小学生の単なるいたずらだと、半分は本気にしていなかった。

 新しいメッセージが貼り付けられるまでは。