ぐっしょりと濡れた靴や靴下を見て、頭が落ちる。もう少し考えて行動すればよかった。中敷きから水を出しても、靴がカパカパして気持ちが悪い。

 勘違いした自分が情けなくて、数分前の感情が哀れになる。感触の残る手のひらを閉じると、

「これ履きなよ。まだ使ってないから、汚くねぇよ」

 リュックから取り出されたのは、黒と白のランニングシューズ。
 朝と夕に走ろうとして、つい先日に購入したらしい。新品を借りられないと拒否したところで、宮凪くんが受け入れないのは目に見えている。

「……ごめんね、ありがとう」

 夏の近付く風のおかげで、素足はすぐに乾いていた。

 宮凪くんのランニングシューズは大きくて、少しぶかつくけど履き心地がいい。小さくしか進めない私の歩幅に合わせて、宮凪くんが家の近付くまで送ってくれた。

 迷惑をかけてばかりだったから、今度は私が叶えたい。宮凪くんがやりたいこと。