「……えっ? それ、どうなってるの?」
「海ホタルとは違うけど、すごいだろ? これ、俺の特殊能力」

 得意げに言う宮凪くんは、続けて説明する。水に触れると蛍のように発光する。この体質は幼い頃からで、痛くも痒くもないらしい。
 昔見た海ホタルに、よく似ている。あの時の感情が蘇るようで、懐かしさが込み上げた。

「……きれい」
「触ってみる?」

 一度引っ込めた手を伸ばして、そっと手のひらを合わせる。クリスマスのネオンみたいにほんのり暖かくて、ドキドキした。

「したいことも欲しいものも、その時叶えておかないと、あとで後悔するかもしれないだろ」

 指の隙間に宮凪くんの指が入り込んで、ぐっと手が握られる。触れたとこから、青い光がこぼれ出す。

 鼓動がおかしくなるのは、きっと海ホタルを見れたから。感激で胸が熱くなっているから。そう言い聞かせなければ、気丈に立っていられる気がしない。

「そろそろ帰るか。足元、転びやすいから気を付けて」

 ごわつく石でバランスを崩しそうになりながら、しっかり繋がれた手に支えられて河原へ上がった。