アスファルトが溶け出しそうな空の下。
 じわりと汗が滲む肩丈の髪を揺らしながら、私は約束の場所へ向かう。


 通学かばんの中に、お気に入りの便箋で書いた手紙を入れて、ペダルを漕ぐ足は少しだけ重い音を鳴らした。

 堤防を上がった(すみ)に自転車を止めて、階段を降りる。

 いくつものテトラポットを渡ると、見えて来た。二人だけの、秘密の場所が。



 ちょうど一年前の夏。

 指切りした約束を、宮凪くんは覚えてくれていますか?