ルーズリーフの切れ端を握りしめながら、公園の海賊船へ入り込む。放課後、誰もいなくなった教室でこっそり書いたメッセージを眺めるけど、気が乗らない。


《キライな自分。どうしたら変われるかな?》


 貼りかけた手を戻して、リュックのポケットへ押し込んだ。

 こんな暗い話をしたら、困らせるかもしれない。
 ウミちゃんが宮凪くんという男子だと知ってから、さらけ出した話をしづらくなった。顔も知らない。会ったことのない時の方が、踏み込んだ質問ができていた気がする。


《今日は合唱の練習をしました。ウミちゃんは、歌が好きですか?》

 当たり障りのないことを書いて、公園を去った。

 自分がとてもつまらない人間に思えて、急に恥ずかしくなった。
 もう返信をもらえないのではと不安になって、それならそれでいいじゃないと開き直る心の住人が出てきて、ため息ばかりが増えていく。