――バンッ!
先輩の気持ちを聞けると思った瞬間、外から花火の音が聞こえた。
「花火が上がったな」
「そうですね……って! そうじゃなくて! 先輩はあたしのこと……んっ!」
花火のせいで聞きそびれた言葉の代わりに、あたしの唇に落とされた先輩からのキス。
「花火が終わったら、ちゃんと言ってやるよ」
「もう、先輩ってば……」
暴君先輩と呼ばれてる人が、こんなにも愛情表現に積極的だったとは……。
人は見かけによらないとはこういうことを言うのかな?
「そういえば、先輩は“文化祭マジック”のことって知ってたんですか?」
「さぁな」
そういう先輩の口角は、弧を描くようにほほえんでいた。
――Fin――