「先輩ってば! って! きゃあぁぁぁっ!」
「うわぁっ!」
先輩の腕を掴もうと手を伸ばしたけれど届かなくて、そのまま先輩を巻き込んで階段から落ちた。
「いって……。お前、不注意にもほどがあるだろうがっ!」
いつも聞き慣れていた怒鳴り声が、頭上から降ってきた。
「いつもの先輩だぁ……」
安心したからなのか、目から涙がこぼれ落ちる。
「なんで泣いてんだよ。どっか打ったのかよ」
心配そうにあたしを見つめる黒岩先輩。
「大丈夫です……」
「そっか、それならよかった」
先輩は安心した顔で、あたしの頭をなでた。
あぁ……。
もう自分の気持ちを抑えきれない。