「はぁ……ったく、そんなに言うならしかたねぇなぁ」
呆れたように大きなため息をひとつついた先輩は、あたしの手をギュッと繋いだ。
「これでいいか?」
「ち、ちょっと! 黒岩先輩!?」
突然の出来事に慌てふためくあたし。
ちょっと! いきなり手を繋ぐなんて!
しかも、目の前にまなみんがいるのに!
「悪いけど、こいつは実行委員の仕事中なんだ。終わったら返すから、今はごめん」
って、なに自分の所有物みたいに言っちゃってんの、この人は!
あたし、先輩の物じゃないんですけど?
「あっ、は、はい! どうぞ」
って、まなみんも“どうぞ”じゃないよ!
「ほら、早く行くぞ」
「ち、ちょっと! まだまなみんとの話が終わってないのに!」
「あたしなら平気だから。あかりん、またあとでね!」
まなみんがニヤケながら、あたしに手を振って見送った。
まなみん、なんか誤解してない!?
あたしと先輩はただの文化祭実行委員だからね――っ!