楽しい楽しい文化祭の日にまで、さすがに怒られたくないよ!

早く先輩を探さなくちゃっ!


そう思っていると、後ろから乱暴に腕を引かれた。



「お前、いったいどこをほっつき歩いてんだよ!」



いつもは頭が痛くなるほど聞きたくない罵声が、今はなぜかホッとした。



「あっ! 黒岩先輩、いた」


「『あっ! 黒岩先輩、いた』じゃねぇよっ! さっき人が言ったことも守れねぇって……お前、ホントに脳みそあるわけ!?」



予想通りのセリフであたしを怒鳴る黒岩先輩。



「ちゃんとありますよ! そういう先輩こそ、あたしがはぐれることわかってるなら、そうならないように努力してください!」



あたしはいつもの売り言葉に買い言葉で言ったつもりだった。

黒岩先輩があたしになにかをしてくれるなんて、これっぽっちも期待していなかったのに。