口に出して、反論したかった。



でも、できなかったのは


『めいっぱい
 恋を楽しんでいる人が羨ましい』



そんな風に思う自分が

心の片隅に

存在しているからかもしれない。





「衣織、早く講堂に行こ」



「待って
 教科書を机にしまってから……」



私はのんきに

カバンから教科書を取り出す。



「早く早く!」



「せかさないでよ、純ちゃん」


私がのんびり屋さんなの

知ってるでしょ?



「今日の全校集会
 並ぶ場所はどこでも良いんだって。

 イケメン先生を拝める特等席
 ゲットしなきゃじゃん!」