変わりたいのに変われない、前に進みたいのに進めない。


ほら、煌くんに心配かけたくないくせに涙で視界がぼやけてきた。


最近の私は泣いてばかりだ。


このままじゃ、煌くんに泣き虫だって思われてしまう。


人が泣いて気分のいい人間なんていないだろう。


私は煌くんにとって頼れる人間でありたい。


だから煌くんを暗い気持ちにさせたくない。負担にはなりたくない。


手のひらでまぶたを擦って涙を止めようとすると、その手を煌くんが掴んだ。



「ゆづは強いよ」

「強くなんて、ないよ」



強いのは煌くんのような人のことだ。


努力を重ね、懸命に日々目標に向かって突き進む。


誰にも左右できない信念があって、周りの人が憧憬を抱くほど芯の通った人。


私はそんな煌くんに憧れたんだ。