すぅ、と頭の中が冷えていく。
「俺が考えてること、知りたいか」
「…は?」
こいつ、ヤバいやつだ。
かなりヤバいやつだ。
「なあ、俺の事知りたいか」
分かった気がする。
こいつが何考えてるか分かんねえ理由。
「お前、頭おかしいって言われねえ?」
眉間に少しシワが寄る。
「感情、うちに籠らせすぎて、出し方分かんなくなってんだろお前」
こいつ、かなり単純な理由で、性格こじらせてるんだ。
「お前、俺の泣き顔で興奮したとか、絶対言うなよ」
それだ、みたいな顔をする。
「俺は今、お前が恐怖の対象でしかない」
ふっ、と手の力が緩められて、後頭部は解放された。
がしかし、腕を掴まれている。
「……お前が柿谷と殴り合いの喧嘩をする理由が分かった気がする。お前が話すと余計に問題ありだな」
無表情で俺を見ている皇。
「……お前さ、そういう理由でいつも俺の事見てんのか」
「そういう?」
それを言わせんのか。
「はぁ……まどろっこしい聞き方はやめる。お前の考えていることを普通に話せ」
昔、俺を力づくで押さえつけていた男どもを思い出した。
けど、こいつはまだ救いようがある。