「はぁ、疲れたぁ!」

 バイトが終わって、部屋へ行き、そのままベッドにごろんとした。ひんやりするタイプの水色のシーツが気持ちいい!

「ふんふふーん♪」

 思わず鼻歌を歌っちゃう。

 そういえば、さっき“バイトの先輩バージョン”の新しい告白シチュエーション思いついたんだった!

 周りのイケメン達を想像の中で利用して、私がされてみたい告白をイメージするの!

 そして、思いついたあらゆる告白シチュエーションをノートにメモしている。

バージョンはこんな感じ!
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☆学校の同級生とバージョン
☆バイトの先輩バージョン
☆家の義弟バージョン
☆街中の偶然バージョン etc.
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 よし、早速書こうかな?

 本棚からノートを出そうとした時だった。

「ん? 違和感……。なんだろう」

 その違和感の正体はすぐに分かる。

 一番端は紫から始まり、青、緑、黄、桃、赤って感じで色順に普段本棚の本達は並んでいる。

 そのノートは私にとっての胸キュンカラー、桃の色。

 黄色と赤の間に普段は確実に並べてあるのに、青と緑の間にあったのだ。

 誰が読んだの?

 お義父さんは、出張でいないし、お母さんは、本の並べ方を知っている。もし仮に読んでいたとしてもきちんといつもの場所に戻すだろう。


 もしかして、義弟の岳?

 よりによって彼に見られてしまったの?

 ――恥ずかしいし、ヤバい! なぜならその中に書いてある内容が……。

 ノートを手に取り、自分が書いた『家の義弟バージョン』のページを開いて、改めて自分の書いた内容を読み返してみた。

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☆家の義弟バージョン
設定 五年前から親の都合で一緒に暮らすことになり、お姉ちゃんの私にベタ惚れなイケメン

告白シチュエーション

・一緒に料理をするふたり。
料理が上手な私に向かって
「僕以外のやつに、ねえちゃんが作った美味しい料理、食べさせたくねえ! 好きな人の料理を独り占めしたい」とさりげなく告白される。

・義弟が夜中寝ぼけて、私の部屋に間違えて入ってくる。
そのまま寝ぼけたまま「これは夢なんだ、夢だから何だって出来る。現実で好きな人に告白だって……好きだ」みたいに夢と現実間違えて告白される。

etc.
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 義弟バージョンなんて、こんな事が五ページびっしりと書いてある。 

 岳をイメージしたやつ。
 ベタ惚れとか、ありえない事を書いちゃっているけれども。

 身近だから沢山思いついちゃって。

 岳にノート見られたのかなぁ。
 あぁ、でもただ私が戻す場所、間違えたのかもしれないし。

 まぁ、いっか!

 そう思っていたんだけど――。