「そうそう。僕たち、旅の途中でこの町に立ち寄ったんです。お姉さん達は、この町の人ですか?」

「ええ、このダイニングバーにもよく来るの。あまりにもカッコいいから、つい話しかけちゃった」

「ははっ! お世辞でも嬉しいです。せっかくなら、少しお話ししませんか?」


 近くのテーブルを寄せて談笑がはじまる。ニコニコと会話を進めるシルヴァンの隣で、ヴォレンスは少し警戒しつつ彼女達を見ていた。

 すると、ひとりの女性がヴォレンスに話を振る。


「急に話しかけてごめんね。迷惑だったかしら?」

「えっ。め、迷惑とかじゃ、ないですけど」

「ふふっ、よかった。一度も目が合わないから、怒らせちゃったのかと心配したわ」

「怒ってないですよ! 全然……」


 そのとき、シルヴァンがテーブルの下で兄を肘でこづく。


「ちょっと、なに緊張してるの? 普段は威勢がいいんだから、もっと好意的にコミュニケーションとってよ」

「ぐるる……」