「俺と住むのは気を使うか……? もしそうなら、別の家を用意するぞ」


もう一度首を横に振る。


ああ……せっかく優しくしてくれたのに……。


夜明さんに気を使わせてしまった……。


「そうか……よかった」


夜明さんは安心したように、ほっと息をついた。


こんな気持ちのままじゃ、また迷惑をかけてしまうかもしれない。


「わ、私は……夜明さんがしてくれることに対して、嫌だなんて思うことはひとつもありません。ただ……」


ちゃんと言っておかなきゃ……。


「こんなふうに、してもらったことがなくて……」


どんなふうにすればいいのか、わからなくて……。


嬉しいのに、素直に喜べない……私は星蘭みたいに、可愛く振る舞えないダメな婚約者。


「そんなことか」