「だ、だから……!」



 そ、そういうこと言うの、やめてっ……。

 恥ずかしくて顔を下げると、依奴くんの手が私の顔に触れた。



「っ、なに……?」



 そう問うと、



「……ああ、なんでもない」



 と、手を離した。

 ……?



「寧恋、行こ」



 首を傾げると、いつもの無気力そうな顔でこっちを見た依奴くん。



「寧恋」

「……うんっ、行こっか」



 私はずっと、依奴くんが好き。

 ぼんやりした青白磁色の瞳。その瞳は私のことをよく見てくれている。

 インドア派なので肌はけっこう白く、その分透明感のある紅赤色の唇が目立ち、整った顔つき。

 顔はさっき言った通り驚くほど整っているし、勉強も毎回首席。運動神経も抜群の文句なしの王子様。

 だけど、彼はちょっぴり無気力。

 それ以外はどこも悪いところがない、自慢の幼なじみ。