「『ルージュ』と『オシリス』の娘ね…。規格外すぎでしょ。」
そう言ったのは彩矢。
「ってか、伝説の二人の間に子供なんて生まれていたのね…。」
そう言ったのはシズク。
「国王陛下の実子より重大な機密情報じゃないの?」
「そうね。でも両親の顔知らなかったし、国王陛下夫妻は実の娘のように接してくれてたから。だから両親が別にいるって知った時、かなりショックを受けたこと今でも覚えてる。」
舞の何気ない一言に当時のことを思い出す。
優しく、時に厳しく。実子に対して接するように育ててくれていた。
でも入って間もない年若いメイドに言われた、たった一言―。
『陛下に媚び売って恥ずかしくないんですか?赤の他人のくせに。』
どういう意味か分からなかった。
だから乳母に聞いてみたし、執事にも聞いた。
みんな苦笑いをしていたけど、私に話したメイドはその日のうちに解雇になった。
真実がどうしても知りたかった私は陛下と皇后に聞いた。
そして知ってしまった。
ふたりともとても悲しそうにしていたことを覚えている。
そして私は本来生まれた場所にこっそり行った。
「で、5歳になる年にみんなに会ったってわけ。」
「その時にはもう護衛ついてたよな。」
「逃走防止と情報漏洩防止のため。あと、護衛」