「そもそもかがくってなんなの?」
「科学って言葉と、化学って言葉の違いも判らないわ。」
もう一度言おう。
ここにいる7人は魔法のエキスパートである。
魔法の天才、秀才、努力でもぎ取ったものー。
それぞれがそれぞれの方法で最強の称号【魔道士】を獲得している。
だが、そんな彼らでも科学という未知のものはわからないのだ。
「別にそんなに難しいことではないのよ?科学ってものは。」
「えっ?」
「魔法が使えない、魔道具も使えない。そんな『落ちこぼれ』の私たちからしたら科学はありがたいのよ。」
そう言ったのは、この部屋の隅でお茶を楽しんでいる2人―。
もともとは敵同士だった彩矢とシズクだった。
「貴方たち、魔法を使えないの?」
「ええ、私たちがいた学校の子たちはほとんどが使えなかったわよ。」
「いや、でも俺らの学園襲ってきたときは使ってなかったか?」
「全く使えないわけじゃないわ。調整をして1か月に1回使えるかどうかって感じだもの。」
だから落ちこぼれ。
そういいながらクッキーをつまむ彩矢ー。
「そもそもこの世界では魔力を持ってるか、魔道具が使えるか。この2つしか魔法を使えないのよ。調整するための機械もないしね。」
お茶をたしなんでいるシズクから聞かされた事実に未来たちは驚いた。
「調整機って確か人体に対するダメージが大きいって。」
「えぇ、そうね。だから体がボロボロな子が多い。でも、『落ちこぼれ』『石ころ』って言われるよりましだもの。」
「石ころ?」
「魔力なしのガラクタって意味。」