……ねえっ!楓!!
そう言いながら、後ろから、ヒョコッと、私の左に飛び出る、灯。
灯の顔は、すごく楽しそうに私を見ていて。
「何?」
私はニコッと笑って、灯を見ると。
「ねえ。見たことない?……あの、王政義數に」
「へっ?今さっき、見たじゃん」
何言ってんの。と思いながら、灯を見たら。
灯は頬をプクーっと膨らまして。
「そういうことじゃない!」
「……えっ?」
「……だから!!中学で見たことない?!」
灯の顔が、私の顔に近づいて来る。
「……えっ?あの、国民的俳優の人が?」
「……いやっ、見間違いかもしれないけど、高校1年との交流のときに会った気がして」
「うーん」と探偵みたいに考えている灯さん。
私には、王政義數の顔は、もう魔王様の顔に染まっているから、「見たことない」でもう私の頭の中は裁判で言う、『可決』している。
……うーん。見たことないなー。
私は頭の中に中学生の頃を思い浮かべようとするけれど。
魔王様の顔は一度も見たことがないと思ってしまっていた。
「まぁいいや。……見たことがあったら、私に早急に連絡を!」
とまたしても、一瞬にして、私の顔に近づく灯。
……分かりましたよ。
私は、灯の圧に押されながらも、言っていた。
そして、王政義數=魔王様が立ち去った後。
すごく、お客さんが来た。
「ここにイケメンがめちゃくちゃいるーーー!!」
「ここの学園最高すぎー!!」
「というか、王子様、来てるー!!」
「やばい!!あのメイド可愛すぎる!!」
などと、SNS(ネット)で呟かれ。呟かれ。
めちゃくちゃ、私たちのクラスの教室に人がたくさん詰め寄っていた。
そして、隣のクラスまで繋がれる、長蛇の列もでき。
歴代最高とも言える、長蛇の列。
……そして、私たちのクラスが、2位に大きな差を付け。
1位になっていた。
その表示されている、掲示板を見たときに。
私たちも仰天しながら、教室に戻って、クレープなどのカフェメニューにある、食べ物を作っていた。
そして、文化祭1日目は。
楽しく。
そして、驚くことがたくさんありながらも。
終わった。
おじいちゃん、天国で見て、どうだった……?
なんて「おじいちゃんに聞こえてますように。」と私は、帰り道を歩きながら、1日が終わっていた。