「おじいちゃん!?」
おじいちゃんが1ヶ月前、倒れました。
体の中にガンが見つかったみたいで。
そのおかげで、おじいちゃんは病院でベッド生活。
私もちょくちょくお見舞いに行っていたけど。
何日後とかに、病院の先生から。
「この2、3日が、山場です。」
私に告げられました。
もうすぐ亡くなりそうだと。
私の大好きなおじいちゃんが。
だけど。おじいちゃんは。
「楓よ。ワシゃあ、楓の高校生姿見れて嬉しいぞ?」
「うぅっ……!!おじいちゃん!!」
おじいちゃんの病院のベッドで大泣きする。
「泣くな。楓よ。大丈夫じゃ。独りぼっちになら無いぞ。」
私の頭をさすりながら、優しい声で、私に言ってくれる、おじいちゃん。
「へっ?」
ぼろ泣きしていた私におじいちゃんは言いました。
「お見合いをしてもらおう!との!!」
今までに見たことない笑顔で指はピースとしているおじいちゃん。
「はっ?」
「まぁ。まぁ。それは後々じゃ!……楓の笑顔がもう見られなくなるのも……嫌じゃがな。」
いやいや!!ちょっと待て!!
「後々って、なに!!」
「後々じゃ!!」
後々の言葉で今のことを済まそうとするおじいちゃん。
「え〜〜〜〜!?教えてよ〜〜!!
……じゃないよ!!おじいちゃん、………死んじゃうんだから。」
「……死なないぞ?」
すぐに、返答してきたおじいちゃん。
私は、『へっ?』の顔でおじいちゃんを見る。
「ワシゃあ誰だと思ってる!!楓のおじいちゃんだぞ!!負けたりはせん!!」
筋肉ポーズをしながら、私を見るおじいちゃん。
「本当!?」
私は笑顔になりながら、おじいちゃんを見た。
そんなこんなで夜になっていたので、病院で寝ていいと病院に許可を降りたので、私はおじいちゃんの病院のベッドでおじいちゃんと一緒に寝ていた。
そう。……これが。亡くなる1日前。
でも、翌日。
「か…えで。……おはよう。」
弱々しい声で私に語りかけるおじいちゃん。
「楓……ワシゃあ亡くなるみたいじゃ。」
「へっ?」
「お天道様が迎えに来てくれたんじゃよ?」
「へっ?」
私は、何もかも分からずにおじいちゃんが目をもうすぐ瞑りそうなところを視界が映している。
「ごめんな……高校生になった姿を見れて嬉しかったぞ……?あと……ほれ。楓に授ける……」
私の手にぽすりと来た、2枚の紙。
「婚姻届!?……と手紙?」
何で!?
突然渡された、婚姻届と手紙。
「ごめんな……ワシがもうちょっと若かったら……「おじいちゃん!!ごめんばっかり言わないで!!おじいちゃん大好き!!大好き!!」
私はそう言いながら、おじいちゃんを抱きしめる。
「わしも大好きじゃ。……じゃあな楓。」
私の耳に響いた、弱々しく、元気な声は……
目を瞑り、口を閉じ…………
二度と帰らぬ命となってしまった。
「おじいちゃん!!!おじいちゃん!!」
私の瞳から急に込み上げて来た、涙は………
悲しくて。悲しくて。
苦しくて。
さっき渡された2枚の紙をぎゅうと強く握りながら、大泣きしてしまう。
「秋大正志(あきだまさし)様は……天に召されました。」
私に深々とお辞儀をしながら、そうおじいちゃんの名前を言いながら訃報を言う、担当医さん。
「……っぅう!!!うわあああああん!!おじいちゃん!!」
大声で泣いても。泣いても。泣いても。
おじいちゃんの声は返ってこない。
すごく熱い8月。
風鈴が家の庭・ベランダで響く8月。
THE・真夏で半袖やタンクトップを着ている人々。
熱々しい真夏に。
私が大好きな月日に………
おじいちゃんは亡くなった。