「あの子達に何を言っても聞かないわ。ひそかに動画回してたの。後で佐山先生に密告する」

「相変わらず手厳しいね」

「凪夏ちゃんもこれ以上巻き込まれたくないでしょ?」


こくりと素直に頷く。


「なら、任せて。私、こう見えてもクラスで1番偉いんだから」


そうだったなぁとここに来て思い出す。

鶴乃さんは学級委員長だった。

他に誰もやれそうにないし、今年の春、満場一致で決まったんだった。


「まぁ、副委員長は流されちゃうタイプだし、そもそも日葵派だからね」

「L、O、V、E、ラブ日葵だから」

「ふふ。そういうこと。だから当てにしてない。私がなんとかするから、凪夏ちゃんだけは味方でいてね」

「うん」


あたしと鶴乃さんは先生が校庭の草むしり班を連れて帰ってくるまでずっと、プール内で遊び呆けているクラスメート達をちらりちらりと見ながらも隅の隅まで汚れを落とした。

水を引っかけられようが、

ブラシの先で腰をつつかれようが、

決して屈しなかった。

そのお陰で追加の刑は食らわず、刑期を終えて放課後を迎えることになった。