「少々マンガ上に良くある表現として恋っていうのは、
"自分が自分じゃなくなる感覚"とか、
"その人のことをもっと知りたいって思う気持ち"とか。
まぁ、とにかく恋は複雑な心境の一種ってこと。
答えろって言われても解けない難問なんだよ、きっと」
弓木くんは納得してくれたのか、星見に飽きたのか、首を元の位置に戻した。
そして、ゆっくりとこちらに顔を向けた。
「ん?」
「雨谷って、やっぱ雨谷だよな」
「...はぃ?」
何を言っているのか理解出来ない。
疲れすぎて思考も呂律も回らないんだろうなと慮る。
「雨谷はずっと雨谷のままでいて欲しい。さっきは冷めてるとか客観的に見て大人ぶってるとか言って...ほんとごめん。そういう雨谷の視点も必要だってなんとなく分かった。だからその...」
「ありがと」
言われる前にあたしは先手を打った。
言おうと思っていたこと、ちゃんと言葉に出来て良かった。
17になり、少しは成長出来ただろうか。
出来たと信じたい。
「あたし、さ、弓木くんに言われて色々大切なことに気づかされた。だから、こっちこそ、ありがと。はっきり言うとこ、あたし嫌いじゃない。これからも言いたいことは言って。さっきも言ったけど、あたし傷つかないから。何言っても大丈夫。全部ちゃんと受け止める。そう...決めたから」
「そ。なら、遠慮なく言わせてもらう」
弓木くんは高らかに笑った。
大声を上げて笑った。
あたしの発言の何がそんなに面白いのか分からないけど、深刻な顔をされるよりは良い。
あたしが誰かをまた笑わせることが出来たなら...嬉しい。
「笑ってないで行くよ」
あたしはだいぶ離れてしまった4人を見失わないように、下駄をカタカタと軽快に鳴らしながら駆けたのだった。
------------------------------------------------------------
20✕2年8月5日
天気 晴れ
予定 誕生日と花火大会
花火の写真スマホで撮れた。
後で現像する。
新しい風が吹いた。
どうか、嵐の前ぶれでありませんように。
誕生日くらい願いを叶えて、神様。
"自分が自分じゃなくなる感覚"とか、
"その人のことをもっと知りたいって思う気持ち"とか。
まぁ、とにかく恋は複雑な心境の一種ってこと。
答えろって言われても解けない難問なんだよ、きっと」
弓木くんは納得してくれたのか、星見に飽きたのか、首を元の位置に戻した。
そして、ゆっくりとこちらに顔を向けた。
「ん?」
「雨谷って、やっぱ雨谷だよな」
「...はぃ?」
何を言っているのか理解出来ない。
疲れすぎて思考も呂律も回らないんだろうなと慮る。
「雨谷はずっと雨谷のままでいて欲しい。さっきは冷めてるとか客観的に見て大人ぶってるとか言って...ほんとごめん。そういう雨谷の視点も必要だってなんとなく分かった。だからその...」
「ありがと」
言われる前にあたしは先手を打った。
言おうと思っていたこと、ちゃんと言葉に出来て良かった。
17になり、少しは成長出来ただろうか。
出来たと信じたい。
「あたし、さ、弓木くんに言われて色々大切なことに気づかされた。だから、こっちこそ、ありがと。はっきり言うとこ、あたし嫌いじゃない。これからも言いたいことは言って。さっきも言ったけど、あたし傷つかないから。何言っても大丈夫。全部ちゃんと受け止める。そう...決めたから」
「そ。なら、遠慮なく言わせてもらう」
弓木くんは高らかに笑った。
大声を上げて笑った。
あたしの発言の何がそんなに面白いのか分からないけど、深刻な顔をされるよりは良い。
あたしが誰かをまた笑わせることが出来たなら...嬉しい。
「笑ってないで行くよ」
あたしはだいぶ離れてしまった4人を見失わないように、下駄をカタカタと軽快に鳴らしながら駆けたのだった。
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20✕2年8月5日
天気 晴れ
予定 誕生日と花火大会
花火の写真スマホで撮れた。
後で現像する。
新しい風が吹いた。
どうか、嵐の前ぶれでありませんように。
誕生日くらい願いを叶えて、神様。