「サップラーイズ！ってことで、今日アメリカから帰国したばかりのまーくんで～す！」


まーくん...？

あたしがぽかんとしていると、朝登くんがまだ目を出目金にしたまま口を開いた。


「真昼っ！元気だったか？！」

「もちろん。この通り元気だよ。久しぶりだね、朝登」

「ますます男上げやがって！このこの～！」


どうやら知り合いらしいということは分かる。

けど、じゃれ合うばかりで誰も説明しないのであたしは蚊帳の外で感動の再会を見守っているしかない。

あたしが遠くの山を見るような眼差しでぼんやりと眺めていると、鶴乃さんがトントンとあたしの肩を叩いた。


「なんかごめんね。私もびっくりしてるんだけど、家族のお仕事の都合でアメリカに行ってた日葵と澪夜くんの幼なじみの真昼くんが帰ってきた、ってことなんだ」

「はー」


あたしがため息まじりにそう言うと、ようやく彼の視線がこちらに向いた。

あたしはペコリと頭を下げ、鶴乃さんがあたしを紹介すると、彼もまた一礼した。

そして、その柔らかそうな唇を動かし始める。


「初めまして。僕は湧水真昼(わくみまひる)です。日葵と澪夜とは保育園の頃からの幼なじみで、朝登と鶴乃とは中学時代のクラスメートで大変親しくさせてもらっていました。父の仕事の都合でアメリカに行っていたのですが、この度日本に戻って来ました。日葵から度々お話は聴いていました。とっても素敵なお友達が出来たと。これからは僕も仲良くさせていただけると嬉しいです」

「あ、はい。よろしくお願いします」


あたしが何度も頭をペコペコするものだから、日葵はケタケタと笑っていた。

湧水くんから差し出された左手にあたしは右手のひらで握り返した。

握手をしたから、友達としてこの瞬間から関係はスタートした。