まだ鶴乃さんがクスクスとにやけてはいるものの、あたしは必死に平静を装いプールサイドにやって来た。

鶴乃さんの姿を発見するや否や日葵はいたずらっ子の笑みを浮かべ、こちらに大きく手を振る。


「お~い!つるのん!な~ちゃん!」


そんな日葵に鶴乃さんは容赦なく刃を剥く。


「日葵、もっと真面目にやって!なんでそんなに濡らしてるの?気をつけてやればそんなにならないでしょ?」

「いいじゃん!どうせ下は水着着てるんだし!」

「そういう問題じゃ...」

「掃除だって楽しまなきゃ損だよ~。びしょびしょの方が楽しいよ~。
ね~みんな~?」


日葵の掛け声で女子達が集まってくる。

うちのクラスはバレーやバスケなどの(あたしから見れば)イケイケの運動部がわりと多くて他のクラスより一層賑やか。

だから、低体温のあたしや真面目な鶴乃さんが浮いてしまう。

あれよあれよという間に水かけ合戦が始まってしまった。

そもそも他クラスより体育館の使い方が良くないからという理由で(もはや罰のような)プール掃除をさせられているというのに、これではまた別の刑を執行されてしまいそうで怖い。

それに巻き込まれる方の身にもなってほしいと切に願いながら鶴乃さんの方を見る。